不整脈の新治療-心房細動に対するカテーテルアブレーション-
増加する心房細動に対する根治療法、
カテーテルアブレーション
心房細動とは
心房細動とは、数ある不整脈の中の一つで、高齢化社会に伴い近年増加傾向にあります。また著名人かこの病気に罹患することも多く、マスメディアを通じて病気の認知度も高くなっています。
心房細動は、心臓の心房という部屋が1分間に300~400回前後不規則に震える病気です。
その結果心拍数が上昇しかつ乱れ、動悸症状や胸部違和感、めまい、息苦しさなどを感じますが、無症状の方もいらっしゃいます。
心房細動そのもので心臓死を来すことはほとんどありませんが、無治療だと「脳梗塞」や「心不全」を来す可能性があります。
心房細動に対する治療法
従来、心房細動に対しては必要に応じて脳梗塞予防療法(抗凝固薬=血液を固まりにくくする薬)、不整脈を抑える薬(抗不整脈薬⇒リズムコントロール)や心房細動になった際の心拍数を抑える薬 (脈拍⇒レートコントロール)を行っていましたが、いずれも根本治療ではないので内服の継続が必要です。
特に高齢者や腎機能が低下している患者さんでは、抗不整脈薬の薬物血中濃度が上昇し心房細動以外の不整脈が出現する催不整脈作用や、抗凝固剤(ワーファリンなど)のコントロール不良で、逆に出血を起こしてしまうこともしばしば問題となっています。
そこで根治療法として最近盛んに行われているのが、カテーテルアブレーションです。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションとは、血管から細長い管を心臓に向けて挿入し、高周波を使用して、異常を示す心臓の筋肉にやけどを作ることによって不整脈を根治する方法の総称です。
心房細動の原因の約7割が左心房に開口する4本の肺静脈から起こる異常な電気信号が契機となっていることが分かっています。
そこで、心房細動の場合は肺静脈をターゲットにしてアブレーションを行います。
現在のところ発作性心房細動(普段は正常の脈で、時々心房細動が起こるがすぐに収まるもの)に対する初回アブレーションの成功率は約7-8割といわれております。
2回目まで行うと9割近く心房細動が抑えられるという報告もあります。
慢性心房細動(一年以上心房細動が継続しているもの)に関しては、持続期間にもよりますが、アブレーションを施行することは可能です。
3Dマッピングシステム等の最新機器を導入
現在当院で使用可能な3Dマッピングは。CARTOシステム(CARTO3)およびEnSiteシステムがあります。
これらシステムの特徴は次のとおりです。事前に得られたCT写真から3D画像(立体画像)を構築したうえでモニターに表示できます。
その上にリアルタイムにカテーテルの動きを表示させることができ、複雑な心臓内でのカテーテルの位置関係の把握が容易になりました。
また心臓内の電位情報も同時に表示できるため、複雑な不整脈でも、頻拍回路や起源の同定が可能となり、通電部位の決定の一助になります。
当院では、従来からの透視画像および心内心電図を重視しながら、サポートとしてこれら機器を使用しております。
カテーテルアブレーションについてのよくある質問
当院では、心房細動の状態・年齢などを加味して、外来の時点でカテーテルアブレーションのメリット・デメリット・方法・合併症の有無を患者さんに十分説明した上で、治療を行うようにしております。
心房細動で気になる症状や不安なことがありましたら、是非一度外来でご相談ご相談ください。
治療費はどれくらいかかりますか?
医療費は約70万円(後期高齢者で約25万円)ですが、自治体の高額医療費制度を利用すると約10万円とさらに費用負担を少なくすることが可能です。(金額は自治体によって異なります。尚、食事代、個室代は別途必要になります)
心房細動カテーテルアブレーションは誰でも受けることが出来ますか?
当院では、心房細動の状態・年齢などを加味して、外来の時点でカテーテルアブレーションのメリット・デメリット・方法・合併症の有無を患者さんに十分ご説明した上で、治療を行っております。
心房細動(不整脈)で気になる症状や不安なことがありましたら、是非一度外来でご相談ください。
どのようにして受診したらいいでしょうか?
当院ではセカンドオピニオンや患者様に合った治療がスムーズに行える体制を整えております。
心房細動で気になる症状や不安なことがありましたら、是非一度外来でご相談されてはいかがでしょうか。
お電話で外来の予約をすることが可能です。
帝京大学医学部附属病院
地域医療連携室
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